i-signal事業

インタビュー ~二宮清純が障害者スポーツ選手に聞く~

03.街中に潜む危険性

二宮: そのブラインドテニスの創始者である武井実良さんが目白駅でホームから転落して亡くなったのは、今年1月のことでした。

三輪: はい、本当に悲しい出来事でした。ホームには危険防止のための点字ブロックがありますが、その上に人が立っていたり、荷物が置かれたりすると、僕らはよけるしかない。そうすると、方向がわからなくなることも少なくありません。

二宮: 点字ブロックがあっても点字部分がすり減っていて、判別しにくいところもありますよね。

三輪: 武井さんが事故に遭われた後、目白駅に行ってみたんですね。そしたら、点字ブロックが埋め込み式だったために非常にわかりにくかったんです。しかも目白駅はホームの幅が狭いということもあり、やっぱり視覚障がい者にとってはちょっと危険だなと感じましたね。

二宮: 落合さんも身の危険を感じたことは?

対談風景 落合: ありますね。私の場合は道を歩いているとき、よく車が走っている音で判別するんです。自分が進もうとしている方向に対して、車の音の方向が垂直であれば赤信号、同じ方向に走っていれば青信号だなと。ところが、最近増えてきた電気自動車は音がほとんどないので全くわからないんです。あれは怖いですね。それと、隣の人がスーッと歩いていくので「あ、青になったんだな」と思って自分も歩いていくと、プップッとクラクションを鳴らされて、自分の後ろを車がビュンッと走っていく時なんかはゾッとします。

二宮: 赤信号でも渡る人は少なくないですからね。おちおち人についていくこともできない。

落合: はい、そうなんです(笑)。

二宮: 三輪さんは交差点で困ることはありますか?

三輪: 私は虹彩(こうさい)といって、生まれつき光を調節する機能が働かない病気なんです。普段は例えば道を歩いていて、柱があるとか、人がいるとか、そういったことはわかるのですが、太陽など強い光をあてられると周りが何も見えなくなってしまいます。ですから、晴れた日などは信号機のところにちょうど太陽の光が当たっていると、どこに信号機があるかさえもわからなくなります。